四方(八甲田)山話                  戻る 

  



No.18 初の八甲田山系への旅なら  
   
 もし、筆者が初めて八甲田山系に旅(観光)をするなら、以下の行程にしたいと思います。
    一押しは新緑です。

    時期:春、新緑の時期(5月中旬〜末)
       1日目 酸ヶ湯温泉 泊

       2日目 ロープウエイで田茂萢に上がり、山並みを見ます。
            バスか車で蔦温泉に下ります。(車なら睡蓮沼で途中下車)
            蔦散策路を歩きます。 
            蔦温泉 泊(昔のたたづまいを感じたいなら木造3階建の旧館もいいかもしれません。)
            
       3日目 朝は蔦沼散策路、日中は奥入瀬渓流(石ヶ戸→子の口)を歩きます。
            蔦温泉 泊

       4日目 バスか車で奥入瀬を抜け、十和田湖の遊覧船乗船(子の口→休屋)
            休屋泊か、帰路につきます。


    時期:秋、紅葉の時期(10月初旬〜末)
       1日目 酸ヶ湯温泉 泊

       2日目 ロープウエイで田茂萢に上がり、山並みを見ます。
            (天候がよく、山歩きの装備と経験があれば田茂萢→毛無岱→酸ヶ湯と歩くのもいいかも
             しれません。初雪は例年10月中旬ですので、装備と経験が十分でない人はロープウエィ
             で下りた方がいいです。半分冬山の世界に入っていますので遭難防止には十分留意が
             必要です。)
            一休みした後、バスか車で蔦温泉に下ります。(車なら睡蓮沼で途中下車)
            蔦温泉 泊(昔のたたづまいを感じたいなら木造3階建の旧館もいいかもしれません。)

       3日目 朝は蔦沼散策路、日中は奥入瀬渓流(石ヶ戸→子の口)を歩きます。
            夕方元気があれば、再度蔦沼散策路。
            蔦温泉 泊

       4日目 バスか車で奥入瀬を抜け、十和田湖の遊覧船乗船(子の口→休屋)
            休屋泊か、帰路につきます。

     3日目の午後に子の口から遊覧船で休屋に渡れば、旅程を短縮できます。
     天候が悪いときのため、あるいは休養日として予備日を数日とれれば、さらにのんびり旅ができます。
  
     さらに気に入れば、大町桂月のように終の棲家、近くに永住・・・・・・。

     余談:土日祝日(特にオンシーズン)は奥入瀬渓流は車が多く騒音と排気ガスが多いです。
         また、温泉も混み合います。平日の方が静かな旅ができます。




No.17 海外からのお客さん  (2004/6)  
   
 以前、知人を十和田湖に案内している時に、台湾からの観光客の人を見かけ、けっこう国際化して
    きているんだなと思っていました。

     しばらく前に、これまた台湾から観光で八甲田に来て、秋の山歩きを楽しんだ人からメールをいただ
    いたことがありました。(当HPを、ネットで探し当てたとのことでした。)
     その方々は、2003/10末に田茂萢→毛無岱→酸ヶ湯へと歩いたとのことですが、台湾の旅行ブッ
    クを信じて遭難しかけたと書いていました。

     文化観光立県を掲げた知事さんもいましたが、県の観光HPに英語・韓国語・中国語の観光案内と
    と八甲田山系の詳細地図&説明・注意事項を掲載したら外国の人には便利だろうな、と思ったので
    した。




No.16 冬の八甲田  
   
 筆者の場合、悪天下の中で歩ける気力・体力・技量が不足しているので、冬の八甲田に入ることは
    めったにありません。入るときは、天気を見て荒れない日を選んで入っているつもりです。
     が、歩き始めの山麓は穏やかでも上部に行くと、地吹雪でけっこう厳しい時があります。
      (八甲田以外の冬山でも同じだと思いますが。)

     さて、”視界が5mとか10mしかない吹雪の状況になったらどうするか?”
      
    筆者の場合、以下のようにしようと考えています。
      ・無理な行動はしない。
      ・進路が見えない状況の行動は危険(スキーでの転倒、滑落、雪崩 等)なので引き返す、あるいは
       視界が確保できる場所(標高の低い地点、風の弱い地点 等)へ移動する。
      ・移動が困難な場合は、その場で回復傾向になるまで待機(ツエルト、フライ、雪洞等を利用)する。
      
       そういう状況にならないようにするのが一番ですが、厳しい状況でも冷静に判断・行動できるような
      装備と自分の状況を作っておきたいものだと思っています。
      
     八甲田の冬場の晴天は少ないと思いますが、晴れた時の白い冬山の姿は、きれいなものです。




No.15 ハンディGPS(ガーミン)の話   (2004/1) 
   
 ハンディGPSを知った時に、頭に浮かんだのは、”山でも使えるかも?”と思ったことでした。
   
    1年弱使ったみた感想は、”現在位置確認には、ある程度便利”だということです。
   ただし電子機器ですので、正常に動作しないこと、故障、機器寿命、人間の操作ミスも考えられますので、
   あくまで、地図とコンパスの補助として使っています。山では、GPSはなくても歩けますが、地図とコンパス
   は必携だと思います。(GPSはアメリカの軍事衛星の信号を民生利用しているため、アメリカの運用次第
   で精度、機能が変更となる可能性もあります。)

     余談になりますが、まれな例ですが、コンパスも、強い磁性をもつ火山岩石(溶岩等)で大きく狂うことがあります。
     (富士の樹海が有名ですが、筆者は岩手山その他等でも局所的に狂う事を確認したことがありました。その影響は地表
      近くの方が大きい傾向がありますので、立ってコンパスを見た時は正常、座った時が異常の事例もありました。)


     このように、山での位置の確認は、地図+コンパス+地形+その他(GPS、人間の勘等)の総合判断
    だと思います。

    だいぶ前の冬に仙人岱付近で吹雪かれ、小屋まで到達できずに、ツエルトでしばらく休み、引き返した
   ことがありました。この時は地獄湯ノ沢ではなく、林間コースの中途から直接仙人岱方向に入ったため、
   現在位置の特定がはっきりできず、確たる進路が出せませんでした。
    もし、この時GPSを持っていたら小屋の方向と距離を概ね知ることができたかもしれません。
     (〜吹雪の中で継続的にオーバーミトンを履いた手でGPSの小さなボタンを操作し、小さな画面を判読
      して進路を出せるか?低温と降雪の条件下でも衛星からの電波を正確に捕捉できるか?
       防水性が持つか?等々のいろいろな条件がありますが・・・。)

    また、悪天候でも前進するかどうかの行動判断は、進路を正確に出せる出せないの問題だけではなく、
   天候の見通し、行動予定、自分(あるいはパーティ)の力量等を含めた総合判断ですが。


 筆者のハンディGPS使用事例
   (いろいろ機能があるようですが、操作が少々面倒に感じるため、あまり高度な使い方はしていないと思います。)

     1.山に行く前の準備作業
       ・パソコンのカシミール3Dソフト上(1/25000地形図上)で登山ルート周辺の山頂、標高ポイ
        ント、小屋等をウェイポイントとして入力。
       ・カシミール3DからハンディGPSに入力したデータを転送する。(地形データは転送できません。)

     2.現地(山)で確認できること。
       ・ハンディGPSの画面上(かなり小さいが)で、だいたいの現在位置を確認できる。
        (1で入力したウェイポイントとの相対位置関係での現在位置確認ですのでかなり大まか
         です。)
       ・現在位置が経緯度での数値(度分秒)で確認できる。
       ・歩いた軌跡が画面上で確認できる。(元の地点にもどるのには便利かもしれません。)
                
     3.家に帰ってから確認できること。
       ・パソコンのカシミール3Dソフト上(1/25000地形図上)で歩いた軌跡を確認できる。

     4.その他の使用事例
       ・位置が不明な箇所の経緯度の特定(自然災害地点の位置特定等)
       ・経緯度がわかっている地点への簡易ナビ(経緯度を入力すればGPS画面上にその
        地点が表示されるので、概ねの方向と距離がわかり、その地点に到達できる。)
       ・車で走った軌跡(道路ルート)も確認できる。

  使ってみての感想
    ・初めての山域の、林道の入り口の位置確認にも使える。
    ・必需品ではないが、位置確認に何かと便利。
    ・衛星を継続的に3個以上捕捉できるときは、かなり正確に位置を示す。
    ・衛星を安定して捕捉できないときは、当然誤差も大きくなる。
    ・携帯方法により、衛星捕捉に影響する。(GPS受信部を天空に向けないと受信感度が低下する。)
    ・電池寿命と記録データ数に留意する必要がある。

 
  上記の使用事例以外にも、経緯度表示した地図を携帯すれば、GPSのデジタルデータから地図上で位置
 確認できる、等のいろいろな使い方ができるようです。
 
  いつか、GPSの写真、画面表示も掲載したいと思います。



No.14 山からしか見えない池塘 
    
下の写真は猿倉岳から見降ろした、矢櫃萢の写真である。
    矢櫃萢は登山道からはその縁までしか行けない。ロープが張っていて、これら池塘の水面を見ること
   ができない。矢櫃萢は、眺望の少ない南八甲田アプローチの数少ない休憩適地の一つだが、現在ある
   のは立ち入り禁止のロープだけである。
    木道を50mも敷設し木のベンチでも置いたら、とてもいい休憩地(理屈をつけるなら、自然とふれあえる
   場所?)になると思うのだが。仮に勝手に木道でも敷いたら、環境省は”許可なく国立公園内に・・・、法律
   違反だ!”、自然保護団体は”自然破壊だ!”、新聞は”貴重な湿原に勝手に・・・”、となるんでしょうか。

    天気のいい日に、湿原の池塘の脇で昼寝をしたら気持ちいいだろうな、と思った一枚の写真でした。
    (池塘の真ん中は周囲がすべて水で、寝ころんだら水に浮いたような浮遊感を味わえる、かもしれません。
      想像だけでも十分気持ちよさそうな場所です。)


       
                                             (2003/8撮影)

No.13 トカゲ中の会話
    
初冠雪後の10月初旬のある天気のいい日のこと。小岳と高田大岳の鞍部の木道上で、トカゲを
   決め込んでいたところ、一人の若者が高田大岳方面から泥だらけの靴で歩いて来て言った。
   「2人組を見かけませんでしたか?」 、筆者:”30分前に年配の人にすれ違ったけど”、
   「どっち行きました?」、”あっち(と小岳を指さす。)だけど、あなたが言う二人組かどうかはわからないよ”
   と念を押す。
   ここで若者、思いがけない質問「どっちへ行けばいいですかね?」、筆者”どこへ降りるつもりなんですか”
   「まだ決めてないんです」、筆者 ”・・・・・”、

    天気のよい日で何よりであった。
    

No.12 山の幸を買えるところ
    
十和田湖町道の駅、新郷村迷ヶ平の2軒の売店、新郷村道の駅(間木ノ平グリーンパーク向かい)、
     沖上平の売店

No.11 南八甲田登山道を考える  (2003/8)

  
  
・.登山道の管理者は誰?
     

  県の文化観光推進課からのTEL聞き取り情報
  ・北八甲田は県の文化観光推進課が林野庁から登山道の敷地を借用する形で管理・整備して
   いるが、南八甲田は管理していない。       
      
  ・崩壊した矢櫃橋の再建は県が事業主体で実施している。
   建設理由は、今ある橋がなくなるので代替として建設するということで、水位等の科学的データに
   よる橋の必要性については検討していない。

  ・登山道の刈払い部分にロープを張ったのは、環境省(自然保護官事務所)である。
   



        つまり、現状の南八甲田登山道は、環境庁とか林野庁は規制のみなので、誰も整備していないと
       いうことである。      
        

      ・現時点での感想、意見
        1.誰も整備していないのであれば、樹木は成長して道に進出してくる。歩いている人が通行の邪魔
         になるような部分の刈払いは、山の自然を荒廃させるほどの問題ではないと思える。
         猿倉温泉から黄瀬沼分岐までの現状の刈払いは、登山者の安全歩行に寄与していると思え、
         またそれによる山の自然への影響は新聞で大騒ぎするほどの問題ではないと感じた。
         (この程度の刈払いはどこの山でも見られる光景でそれほど珍しいことではないように感じた。)

          また、ただでさえ流水でえぐれた部分は滑って危ないのに、環境省の張ったロープはその流水
         路に歩行者を誘導している。これは危険な誘導でもある。また、そのロープとロープの支点であ
         る曲がった鉄筋は歩行の邪魔である。安全歩行の観点から撤去して欲しい。
          環境省の意図は登山口に大きな看板でも表示すれば周知できるはずである。
          (現状では、ロープの設置者表示も意図も明示されていないため、何のためのロープか不明)

                         
        ↑誘導先の道   ↑刈払い跡?

     ↑誘導先の道    ↑刈払い跡?

        2.通行量が多くて道が荒廃するぐらいの入山者があるようであれば、木道を敷く必要があるので
         はないか(特に湿原は)。

        3.矢櫃橋は、ユーザーの意向調査と現地での科学的調査を行った後に建設の必要性を検討す
         る。必要性がないのに建設するのは税金の無駄遣いであるとともに、自然保護に反すること
         になる。
          (雪解け時と大雨の直後に現地で調査すれば水位、水量はわかるはずである。)

          また、現状の橋は沢の流水を阻害(河道の半分ほど塞いでいる)していること、及び、コンク
         リートの劣化により、V字型の状態から遠くない時期にさらに崩壊するものと推測されるため、
         撤去する必要があると思われる。
        
              ・・・・とは言っても、9月には橋の建設工事が始まる予定とのことである。

      
     以下項目は後日の予定
     ・土木的視点からみた旧車道(一般登山道との差異、流水溝化する原因と対策等)
     ・矢櫃橋地点の水位の試算
     
      etc

No.10 南八甲田にはない避難小屋
  
  北八甲田の大岳には、山を挟んで二つの小屋がある。この理由は、おそらく登山者が多いこと
    なのだろう。
     南八甲田には避難小屋が一つもない。よく、南八甲田は人が少なく静かだ、と言われる。
    その理由の一つは、メインの登山道が車道として建設された道路で、勾配を緩くするために山腹を
    巻くなど冗長な長い道が続く。(アプローチが長く、山まで遠い)。
     また、南八甲田登山道問題にもあるように、道が悪いところや不明瞭なところがあることも登山者
    の少ない理由かもしれない。

     荒れているらしいとはいえ十和田湖まで抜ける道があることや、山域の大きさ、アプローチの長さ、
    春スキーで入っている人の多さを考えれば、南八甲田に避難小屋があってもいいのではないだろ
    うか、と思う。
     久々に、南八甲田のテントの中で、小屋の場所でも考えてみようか・・・。

No.9 南八甲田登山道問題 関連の雑感 
   
     この問題は、新聞に時々見かける程度であまり気にとめていなかった。
    沢登りの下山路として、あるいは新緑と紅葉の時期に何度か歩いた程度で、あまり現状の問題を
    知らないせいもあった。
     先日、小雨混じりの中、猿倉温泉から黄瀬沼分岐まで歩いた。
    温泉から矢櫃萢までの登山道に間欠的にロープが張られていて、ロープの左右のどっちを
    歩いていいかわからなくて戸惑ったことがあった。
     (流水でえぐられた溝と、刈り払いした方の、どちらをを歩けばいいのかと。)

    頭に浮かんだのは、
      @溝を歩けばもっとえぐることになるので、刈り払いしたところを歩く。
      A刈り払いしたところを歩けば、いずれまたえぐれて溝になるかもしれないので、現状の溝を歩く。

    実際は、深い流水を避け、ロープがところどころ空いているので@とAを交互に歩いたのだが。
    
    さて、この問題はいろいろな意見があるようで、難しい問題ということがわかる。
      (例えば上記Aの危惧の発生条件は、
       植生の根張り等による表土保持力<根張りを消失させるほどの人間の踏む負荷
      の場合に、えぐれ始めると思われる。)

    自分の意見はまだ持てないが、頭に浮かんだことと感想を列挙してみたい。

      ・登山者の意見はたくさん載っているが、この道の利用者は山菜取りの人もたくさん利用
       していると思う。その人たちの意見はどうなのだろうか?

      ・刈り払い、踏み跡問題は環境(自然を含む)と人間の問題である。公害問題でもそうであ
       るように、環境の許容量と人間の負荷量の現状と見通しはどうなのだろうか?
       少しは定量的に把握しているのだろうか。
        例えば、入山者数等、また負荷の今後の見通し、例えば若者で山歩きをする人は少ない、
       人口は減少傾向、となれば、あと数十年後は入山者は激減するのではないか。
       刈り払いが、現在と将来に与える影響の予測は?
        〜これらは、規制を行っている行政が行わなければならない責務だと思う。

      ・刈り払い位置を通らないとすれば、時期あるいは降雨によっては登山道は流水・水たまりが
       多く、かなり歩きにくい道となる。登山道入り口にその旨と、ロープのどちら側を歩くのか
       表示した方が親切(必ずしも義務ではないが)。

      ・昭和初期に車道として作られた道を、現状ありきでそのまま使い続けることが、果たして
       入山者(主に登山者と山菜取りの人)の利便、自然保護、山の負荷の軽減になるのか。
       現道のない、本来の自然発生的な戦前までの踏み跡・山道・けもの道はあったのだろうか、
       またそのルートは。

      ・山にとって負荷の少ない山歩きの方法は、第一に沢歩き(歩いても石が多いためえぐれない〜
       もともとえぐれた所でもある)、次は尾根ではないかと思う。尾根は山腹に比べ流水が少なく
       流水も道が折れたところ等で左右に分散しやすいと思われる。
        (沢は道としては不安定で、危険もあり一般的ではないが。)
        また、山腹を緩く蛇行した現道は山側の斜面の水がすべて流れ込み、歩行路が削られ始めると、
       流水溝、流雪溝となり、水流により浸食されることになると思われる。
        
      ・未来永劫、現道を使い続けることが果たしてベスト・ベターなのか?
       例えば、尾根に登山道を新設して現道を廃止するという方法、あるいは両方活用すれば、
       1本当りの道の負荷軽減になる etc 。
        様々な案の、将来的な環境負荷と発生する問題との比較検討の必要性は。
       また、その他の方法はないか。

      ・法律は状況、時世に応じ変える必要もある。まず、法律ありきで話し始めたら行き詰まる問題が
       ある。最終目的と理想からスタートして考えてみるのも一方法(議論百出でしょうが)。

      ・湿原は弱い。が、人を引きつける魅力がある。
       その環境資源の保護と活用のために、人間がやれることは。
       〜縄・柵・木道・入山規制・禁止etc、いろいろある・・・。

      ・白神山地のように、規制と禁止の敷居の高い山にはあまりなってほしくない。

      ・賛否があるようですが、刈り払いをされた方の労力はすごいものだ、と思う。
       
     問題となっている他の現地を歩いた後に、またいつか考えてみたい。

No.8 大岳避難小屋と仙人岱小屋  
   
     大岳避難小屋は数億円もかけて作られた新しい小屋の割には、あまりいい評価を聞かない。
       感じたことを列挙すれば、
        ・臭い〜トイレの臭いが居室内にまで入り込んでいる。
        ・広さの割に収容人数が少ないというか、使いにくい。
                 
    泊まる人は少なく、すいているところが利点かもしれない。

     数十年後の建て替えの時には設計公募でもしたほうがいいと思える。
    きっと、全国の山屋さんから、いいプランがたくさん提案されるに違いない。


     これに対し、仙人岱小屋は古いが、シンプルで使い勝手がよい。
    いい小屋は人を呼ぶのか、有志の小屋愛好家の人たちが小屋をいろいろと気遣ってくれている
    ようだ。春の水場の雪の穴掘り等も、とてもありがたいことである。
     マナーを守り、きれいに使い続けたい小屋である。
     (石油ストーブを使うなら灯油は各自持参です、また小屋を使ったら掃除を)

     時期尚早ではあるが、将来の建て替えも同じ構造と間取りで建築する事を提案したい。
    設計費も安くすむし、何より、いい小屋はそのまま使い続けたい。
     この頃思うのは、仙人岱小屋は絶妙な位置にあるんだな、ということです。
       ・大岳・小岳・硫黄・睡蓮方面が望めるロケーション(≒アクセス)。水場。
       ・冬の小屋探しでの位置。(平原の真ん中ではなく、特徴ある地形の縁にある)

     ”数十年前に仙人岱小屋の位置選定した人と設計した人は、たいしたものだな”
     と、思う。

No.7 崩壊した矢櫃橋 (猿倉岳南東方向) 
 
          

     東奥日報のwebニュースによると、数年前に崩壊した矢櫃橋が2900万円で再建されることになった
    らしい。調査設計費を含め、4000万ぐらいだろうか。
     現状はどんな使われ方をしているかというと、V 字型に折れた橋に、誰かがかけたロープ
    を手に持ちバランスを取って渡れる。(滑るので、安全確実なのは沢を歩いて渡ることである。)
    また、よっぽどの雨でなければ普通に沢を渡渉できそうである。
     なぜあのような山中にコンクリートの橋が架かったというと、上記の記事によると昭和9年から3年間
    車道として建設され、戦後は放置され現在にいたったとのことだ。

     さて、もしそのような計画が無ければ、言葉を変えれば普通の山道・登山道であればあの場所に橋が
    架けられていただろうか?筆者はかけられていなかったと思う。橋がなくても浅い沢であるため大雨でも
    ないかぎり歩いて渡れると思われるからである。

     橋は不要では?という議論はなかったのだろうか。
     
     ともかく、橋が架けられれば、そこを歩く人にとって安全で便利なことは確かだ。
    ただ、かなりの積雪があり、融雪時には偏荷重もかかる橋であるため、設計には留意してもらいたいと
    思う。
                     

    <崩壊原因一考>

      良好に設計施工されたコンクリート構造物は、50〜100年程度はもつ、と言われている。
      橋は昭和9年〜12年に施工されたとのことで、数年前に崩壊したとすれば、
      約65年程度で崩壊したことになる。
      (一般に鉄筋コンクリートは相当の安全率で設計されるため、そう簡単に破壊されることはない)


      写真から橋の破壊原因として考えられることは、
        @コンクリートの凍結融解によるコンクリートの劣化
        A経年変化によるコンクリートかぶりの中性化
        B設計荷重以上の荷重

      により、
        ひび割れが発生→、そこから侵入した水分による鉄筋の錆が発生→錆の膨張により
        鉄筋とコンクリートが剥離→橋の崩壊

      また、
        C橋桁が載荷されている橋台の変位、支承部の破壊による桁の落下等
        D流水・流雪・土石流によるコンクリート躯体あるいは基礎の浸食あるいは破壊
      の可能性もある。

      @とAは、橋は1年のうち約半年は雪に覆われているため、一概に過酷な状況とはいえない面もある。
      B設計荷重は不明であるが、積雪・融雪によるかなりの荷重が推定される。
      C、Dは調査しないと不明。

      再建計画があるとのことだが、崩壊原因を調査推定してから荷重条件を決定し、構造計画をたてる
      必要があるものと思われる。


       その前に、橋の必要性、安定した橋とするための橋の位置選定の必要性はもっと重要だと思われる
      のだが・・・。
      (車道として整備された道なので、道が不必要に蛇行していることも含め・・・たら、刈り払い問題どころ
       ではなく、おおごとになるのでしょうが・・・。)

No.6 城ヶ倉大橋と排気ガス  (2003/7)

 工事費=62億円/360m=1722万円/mの橋

      橋ができて、大型車輌(バス・トラック)の通行台数が大幅に増えた。
     特に感じるのが大型トラックである。
     津軽と南部を結ぶ産業物流道路としても使われてもいるようだ。
     狭い山岳道路に大型車輌が増えたため、以下の変化があった。
        ・睡蓮沼付近の路側に駐車すると大型車輌が通りにくくなり、渋滞が発生。新聞、TVで
         駐車しない旨のキャンペーン。このため、GW恒例の睡蓮沼のテント村が消滅。
         酸ヶ湯の駐車場、キャンプ場にテント場が移動。
         しかし、一般キャンパーの発電のエンジン音・自家発電機・夜間音楽等に悩まされることもある。
        ・大型車輌のはき出す排気ガス(黒煙まじりも少なくない)が増えた。
        ・通行量の少ない夜間に通る大型トラックも増えた。
        
       橋の建設前の環境影響評価は行っているのだろうが、建設後の実際の影響調査は行っている
       のだろうか?
       
       某党が高速道路無料化を提案しているが、もし実現すればおそらく八甲田山系から大型トラ
      ックは格段に減るに違いない。(八戸〜弘前間の時間最短ルートは東北自動車道経由)

      もちろん橋は、八甲田から黒石・弘前方面への通行には大いに役に立っている。
      が、八甲田の山の立場に立てば、車が増え、人が増え、自然(山)への負荷は大きくなっている。
  

No.5 春スキーはいつ頃まで歩けるか?  (2003/6)
   
      残雪の量にもよる、としか言いようがない。
      (GWに睡蓮沼に雪がなかった年もあれば5mぐらいあった年もあるため)

      2003/5/22 南八甲田の事例
        睡蓮沼〜笠松峠の中途から残雪を拾いながら、駒ヶ峯往復。(櫛が峯までは行けると思えた。)
       ただ、猿倉岳から駒ヶ峯の主稜線の北側あるいは稜線の近くは、笹で雪が寸断されている。
        雪が消えているエリアに入ると、かなりルートの選定に苦労するので、一般的にはおすすめで
       きない。またこの時期はいたるところ沢が開いているので、下部で沢を横断するルートは選択しな
       い方が安全である。          


駒ヶ峯方面からニセ駒・猿倉岳稜線方向 稜線北側はブッシュが出始めていた。

        また、比較的遅い時期まで歩ける、猿倉温泉から櫛が峯往復の残雪量の一つの目安は、
       猿倉温泉からのスタートしてすぐの沢を渡れるかどうか。沢が口を開けていたら、あるいは渡れそ
       うもなかったらかなり積雪が減ってきているので、筆者なら行かない。(2003/5/22は開いていた)
            〜参考まで

No.4 田茂萢岳のピークは何処?  (2003/5) 
 
        田茂萢岳周辺には2つのピークがある。ロープウエィ山頂公園駅近くの標高1326mのピークと
       その500m南東にある標高1324mのピークである。
        普通に地形図を眺めたら、田茂萢岳とは1324mのピークなのだが、ネット上ではピーク1326m
       を田茂萢岳と表現する人と、1324mとする人と2種類の表現があった。

        そこで、2003.05.20に問い合わせてみました。
            国土地理院 東北測量部(TEL 022-295-8611) TEL談

            「山名は基本的に地元自治体に確認してつけています。
            地理院の1/25000地形図(雲谷)の田茂萢岳はピーク1324を表示していると思われます。
            1326は山名表記なしです。」

        との事でした。

        それが、真実かどうかは別にして(地図の間違いは当然あると思われるため)、当HPでは、
       田茂萢岳は1324mピークとして表現していくことにします。

        〜山名を曖昧にしておくと、遭難救助とか何かで場所を特定する必要がある場合に混乱が生じる
         のでは、と少々の杞憂。             

No.3 八甲田のよさは 
   
        八甲田以外にも、いい山・特徴のある山はたくさんあるが、八甲田の良さを少し考えてみたい。

     その1 山域の大きさと交通アクセス
        個人的に好きな山の山域に、大雪山系、飯豊連峰がある。これらは一つの山域でかなり大きい。
       そのため、山の中核にたどり着くまでに、麓から丸一日以上も必要な場合がある。
       この点で、八甲田はあまり大きくもなく、されとて小さくもなく、北八甲田の周囲には周回道路が
       あるため一日あれば核心を歩き帰ってこれる。気軽に行けるところが気に入っている。
        
     その2 山容
       北海道・東北の山並みは、日本アルプスに比べれば穏やかな山容(急峻なところが少ない)で、
      植生も豊かだ。八甲田は独立峰ではなく、近接した複数の山から構成されている。
       このため、風を避けるコース取りができる。(積雪期には重宝する。)
       また、湿原・沼・火口・沢・高山植物・山菜・温泉もあり、四季を通じていろいろ楽しめる。

     その3 春スキー
       上記の2点+厳冬期の積雪量の結果、春スキーがとてもいい。
      何がどういいかと言うと、日帰りでいろんなコースを楽しめるのである。
      特に、雪解けが進む前は、深い沢以外は雪に覆われているので、自由に歩けるというのがいい。
      (〜危険箇所を回避できる読図能力と経験が必要とされますが)
      八甲田を歩き始めた当初は、なぜ関東とか北海道からわざわざやってくるのかと疑問であったが、
      おそらく、このような所以ではないかと思っています。
       八甲田以外の春スキーは、あまり出かけたことはないのですが、東北では鳥海山がすべりがい
      がありました。

     その4 温泉
       山から降りたあとの、ビール&温泉。これが、またいいです。
      静かな貸し切りのような一軒宿の温泉で、風呂につかりながら飲むビール・・・。
       温泉が各所に点在していて、楽しめます。

No.2 北八甲田の熊  (2001)
    
        北八甲田の周回道路(国道394号(通称ゴールドライン)・火箱沢林道)の中で、熊出没の
       話は今まで聞いたことはなかった。
        が、2001/6 の地元新聞(デーリー東北)によると、毛無岱で熊が目撃されたとの報道が
       あった。

        熊鈴のない静かな山歩きができた北八甲田に、鈴の音がやってくるのだろうか。

         数年前、白神の沢沿いで、前日歩いたルートに生々しい、熊の痕跡(木をひっかいた跡)を
        見て、白神は熊の濃いとこだな(≒自然が残っている)、と感じたことが思いおこされた。

       →2006/6追記  仙人岱小屋〜笠松峠での目撃例が2件、某山関係掲示板に掲載されていました
        

No.1 北八甲田山岳スキールート図   

       北八甲田の山スキーには、とても参考になる地図である。

                                                                              

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